08 「 プロポーション 幸運の比率 」
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黄金の比率
銀の比率
それとも、鉛の比率なんだろうか。
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人生が5等分されていて
5分の2が、平均と仮定してもやぶさかではない、きっと。
誤差があるからして、
そう、不確実性というものもあるからして。
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後出しの有利さを選ぶか、
先行逃げ切りを狙うか。。
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さてさて。
あごに手を当てて、賢者か傍観者を気取るのか。
立つよりは座って、身体的怠惰を選ぶべきか。
当面のライバルを出し抜くのか。
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何はともあれ、5年後の未来、
10年後の個人的美意識に、自信のない僕としては。。
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すれ違う偶然、美の可能性に
一抹の期待を感じながら、
憂鬱、軽いめまいを覚えてしまうものなのさ。
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未来の後ろ姿に、出会えたのかもしれない、
僕自身の未来。
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だから、そう。。
とりあえず、
視線だけは外そうかな?と思う。
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John George Brown (1831-1913) British painter
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09 「 とりあえず Be Cool! 」
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順番もありますね。
こうしたいという、
理由も立派にあるかも。。
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取りあえず、
順番なんてものは無視して。
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いくつか浮かんだアイデアも、どこかにほったらかして。
ことわりも、無視。
こだわりなんて、どこかに忘れてしまいましょう。
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さてさて。
取りあえず、と、いきましょう。
取りあえずの、さてさてです。
詮索や質問はなしにしてくださいね。
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偶然も、立派な神様のご意志なのですから。
いいですよ、自然体ですし、クールな感じがとてもいいです。
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John George Brown (1831-1913) British painter
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10 「 太陽と月 Two dreamers 」
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世界には、ふたつの言葉があるのです。
姿を変え、響きを変えながら
どの国にも、いつの時代にも。
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Sun、そして、Moon
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額に汗浮かべ、太陽をまぶしそうに見上げる人
笑いかけて、家族の幸せを語る人。
輝く夜明け、知らず知らずのうちに手を合わせる人。
きっと、いろんな人がいて。
しずしずと、お月様の下で、誓いを立てる人。
たった一つのあやまちを小声で語る人。
唇の震えを隠しながら、頬を伝う涙を乾かそうとする人。
きっと、いろんな人がいて。
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もしも。。
お月様と、太陽をながめて何も感じなくなったら、
大事なことを思い出せなくなったら。
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太陽のあたたかな光、お月様の静かな光でさえ
つまらなく思えて、たとえば、夜と昼、
昨日と今日、喜びと悲しさの区別がつかなくなり
人ってなんなのだろうと、
それしか考えなくなってしまったら。。
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思い出すのもよいかもしれません。
太陽とお月様が、夢をみていることを。
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たとえば
男の子が、太陽に笑いかけながら笛を吹いています。
両足のささくれた傷がきれいに治って。。
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たとえば
女の子が、お月様に幸せの歌を聞かせています。
石の柱にもたれて冷えきった頬に、ぬくもりがもどって。。
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お月様と太陽は、
夜明けのころ、日没のころに、
手を差しのばし、夢と夢を交換するのです。
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お互いの夢が叶いますように、と。
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Augustus Edwin Mulready (1844-1904) English painter
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11 「 Gone with snow 」
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置いていくのか?置き去りってやつなのか。
それとも
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通り過ぎていくのか?気まぐれなすれ違いというのか。
それとも
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追いかけているのか?追われていただけなのか。
それとも
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君が追い抜いていったのか、
足跡を辿っていただけなのか、
後ろ姿しか見えなかった。
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立ち止まりはしないのだな。
ついてこいと言っているのか
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昨日の自分を忘れろ、明日の自分をあきらめろ。
冬の山にはそんなものはありはしない。
そう言いたいだけなのか。。
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二日前、いや、もうちょっと前の晩、
暖炉が暖かく燃える書斎にいた。
それは確かだ。
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一枚の古びた写真を眺めていた。
アルバムの中に気になる一枚があってね。
写真の中に、写真が写っている。
その写真の中にも一枚の写真が。。
湖に浮かぶ小舟、そして一人の女性。
一番奥の小さく傾いた写真には、
その女性は写っていなかった。
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去って行くのだな
君はただ消えてゆくのか?
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それとも消えてゆくのは僕。。
僕が君の幻なのか?
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William Blair Bruce (1859-1906) Canadian painter
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12 「 グリーンライト 」
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3年前。15年前。
もっと遠い日々なのだろうか。
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何時というのは、重要じゃ無いかもしれない。
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そして、もう一つ。
二度目、八度目。
何度目なんていう、順序や回数さえも。
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辿っていくことがある。
あてどもなく、どこにあるかわからない、目的地へ。
いろんな道や点を選びながら辿っていく。
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それは必要なことなのだろう。
この椅子に座った初日のことはよく覚えている。
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「小さくていいから、どんな形でもいいから
安全だと思える部屋を作ってね。」
と、彼女に言われた。
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あれから、いくつの部屋を、心の内に用意しただろう。
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部屋以外のものも使えるようになった。
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ブナの林の中で、座りのいい切り株に腰掛けたり。。
水面のキラキラと揺れる、
青い湖の底に横たわることもあった。
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もう一人の僕が、落ち着いてくると、
目の前に、横に伸びた電光板が用意される。
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彼女の合図で、ゆっくりとした点滅が始まる。
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左右に移動していく緑。
小さな光を目で追いかけていく。息を乱さないようにして。。
一律な早さと加速度を与えられた
緑の点は、訥々と発光しながら、右から左に移動していく。
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拒絶された記憶と、名前のない日々、
知らないところに焼き付けられた印象と光景。
気配と振動が歪みながら現われる。
短く、分断され、間遠に再生する事象と空間。
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いつからだろう。僕は青い空を選ぶようになった。
8の字の無限ループの入り口に。。
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空の青い光を受け止めながら
時のことを忘れていく。
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止めるのではなく、そっと忘れていくのだ。
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立ち止まり、眺めながら、音のない世界の中で。。
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時ではなく、今日の呼吸を止めていくのだ。
あの日の呼吸を再開するために。
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彼女の声が聞こえてくる。
「あなたにしか思い出せないのだから。。」
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Angelo Morbelli (1854-1919) Italian painter
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13 「 Turn to the right 」
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右を向きましょうか。
それとも。
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まずは右を向きましょうよ。
ものごとには順番という物がありますから。
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左を向きたいのかしら?沈黙は肯定の印ね。
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別にいいの。
合わせることもあるし、られないこともあるのだから。
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ときどき思うわ。
人生って退屈かなあと。
倦怠とあくびの連続みたいな。。
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あの芸人さん、名前は忘れたけど。。
ほら、山高帽をかぶって、ステッキをクルクル回す人。
パタパタとペンギン歩きして、
倒れたと思ったら、ムクムク起き上がって走りだす。
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たまには上を向いてみましょうよ。
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あら、珍しい。
あなたが言い出すなんて。
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そう、いいことかも。
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今日が始まるって感じ。
たくさん時間があればいいわね、そう思わない?
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Charles Demuth (1883-1935) American painter
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14 「 木漏れ日の12時 」
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ねえ、瑠璃をまとう更紗かしら
それとも 江戸切子に浮かぶ藍色かしら
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ええ、薔薇窓のステンドグラスかもしれないわ
もしか しずく垂れる露草の微睡みかもしれないわ
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内なる光はとどまりながら 何を照らしているのかしら
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見えないものと、感じるものは、すれ違いながら
知り合えるのかしら
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ねえ、
お日様がまぶしい希望の旅人なら、
お月様は身を削りながら灯る、道しるべかもしれないわ
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ええ、
光の子供たちがはにかみながら、
青い木洩れ日の中で、遊んでいるのかもしれないわ
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あら わたしたちの足下まで
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Sergei Arsenevich Vinogradov (1869-1938) Russian painter
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15 「 Three Giants 」
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ねえ、あなた。
いい加減に機嫌を直したら?
ジェイミーがかわいそうよ。
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「最初の朝ご飯」
私も笑っちゃったけれど、あの子に悪気はないんだから。
「最初の深呼吸」
なんて言われるよりましじゃあない?
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あなた。
おでこに皺が寄っているわよ。
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ちょっとだけ感じるの。
このまま中途半端にほったらかしていたら、
後悔するんじゃないかって。。
あなたは、習作って言葉が大嫌いだったじゃない。
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ねえ、機嫌を直してくれない?
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私、考えたの。
「3人の巨人」って、いいタイトルだと思わない?
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Simon Clement Denis (1755-1813) Belgian painter
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